コンサルティングのフレームワーク
1.企業の特徴認識
(1)経営資源(ひと・もの・かね)
(2)経営状況(B/S、P/L・・・収益モデル)
2.環境分析と方向性抽出
(1)外部環境分析、内部環境分析
業界の特徴(産業モデル)、社会動向(ビジネス環境の変化)、
ステークホルダーとの関係、SWOT分析
(2)コアコンピタンス(競合比較)
競争ゾーン分析(対象市場・商品の項目別優位性)
(3)事業性評価
市場の購入基準、商品ポジショニング、PPM
3.経営計画立案
(1)経営戦略
経営方針、ドメイン、対象市場・顧客
ビジネスモデル(コンテクスト(仮説)の妥当性含む)
(2)事業戦略
計数計画(売上/利益ベース)
4.事業戦略を達成するための課題と目標
(1)事業戦略達成の課題
課題とそれに対応する個別活動の整理
(2)達成目標の設定
個別活動の達成目標の設定
バランススコアカード(BSC)、SCORメトリックス
(3)推進計画
活動の優先度評価
投資対効果算定
5.事業戦略達成のための活動
(1)企業文化の変革
経営理念の浸透、共有された価値観、行動規範
コーポレートアイデンティティ(CI)、ブランドマネジメント
(2)業務プロセスの改革
営業プロセスの改革
商品企画/開発プロセスの改革
調達/生産/販売/物流プロセスの改革(SCM)
(3)情報システムの再構築
プロセスに応じた情報システムの再構築
VEの本質とその活用法
[1]VEの本質
VE(Value Engineering)とは、製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」と、そのためにかける「コスト」との関係で把握し、体系化された手順によって「価値」の向上をはかる手法である。
価値(V)↑ = 機能(F) / コスト(C)
VE実施にあたっては、製品やサービスの果たすべき機能を、ユーザーの視点で分析し、その達成手段について様々なアイデアを出す。そしてそれらアイデアを評価し、最適な方法を選択する。この一連の手順(プロセス)を、チーム・デザインと称する方法で組織的に行い、ユーザーが求める機能を最低のライフサイクル・コストで達成する。
機能にフォーカスする理由は、ユーザーが製品やサービスを購入するのは、欲している性質(機能ともいう)をそれらが有するからである。つまり、ユーザーはその製品やサービスが持っている機能が欲しいので買うと考えるからである。
VEの本質は、単にコスト低減のための手法として見るのではなく、ユーザー視点(利用者優先)および機能本位の考えに立脚し、機能とコストの両面から、製品やサービスの価値の向上をはかる体系立てた活動を組織的に展開することで、ユーザー・企業・従業員の三者共に満足をもたらし、経営・管理の質までも高めることができる活動である。
[2]VEの活用法
(1)VEが対象とする価値
田中雅康著の『VE(価値分析)』では、実用価値(use value)と美的価値(esteem value)とに分類されており、VEで扱うのはこのうちの実用価値である。美的価値は感覚的には評価できるかもしれないが、定量的な分析は難しい。美的価値はVEではなく他の切り口(たとえばデザインへの注力やブランド戦略など)で高める。
(2)活用対象
日本へは1960年頃紹介され、当初は製造業の資材部門に導入され、そのコスト低減効果の大きさが注目された。その後VEの本質を理解するにつれ、活用分野は製品だけではなく加工や運搬などの製造工程、管理業務や営業活動、書類の作成や伝票の発行、事務手続きなどの間接業務などへも展開されてきた。
経営環境がめまぐるしく変化する今日、企業経営には効率化のみならずユーザー視点の絶えざる革新が求められており、単に廉価な製品やサービスを多く提供する努力だけでは、多様化したニーズに応えることはできない。時代をリードし競争力を向上するには、実用価値を高めるための現状打破の革新が必要である。VEはまさにユーザー目線の革新方法であり、企業体質の強化と収益力の増強に役立てることができる。
業種的には、製造業だけでなくサービス業にも適用できる。どんなサービスでも必ずコストがかかり、ユーザーが本当に要求しているサービスを提供することが重要となる。このようにコストが発生しているものすべてが、VE活用の対象となる。
(3)活用方法
製品やサービスの企画段階から提供にいたるまでの、ライフサイクル全般において、組織的に活動するプロセス(QCPに加えて基準などの見直し手順も含む)を構築しておくことが肝要で、また合わせて意識改革も行う必要がある。
製品企画段階やサービスにおけるVEを「ゼロ・ルック・VE」、設計時におけるVEを「ファースト・ルック・VE」、購買部門や製品完成後のVEは「セカンド・ルック・VE」と呼び、これらを実行する。
セカンド・ルックVEは生産設備や金型等が完成後の活動で、それらの制約のためにVEの範囲には制限がある。このVEでは機能を変えず、コストを下げるVE<価値(↑)=機能(→)/原価(↓)>が中心になる。
ファースト・ルック・VEやゼロ・ルック・VEでは機能向上による価値向上<価値(↑)=機能(↑)/原価(→)>も対象にできるので効果が大きい。より上流に重点を置いた活用が効果的である。